がんの話〜『がん哲学外来』の樋野興夫先生講演を聞いて〜
2018年6月23日
先日、四国がんセンターで樋野興夫先生の講演が開催されるということで、 お話を聞きに行っ てまいりました。
樋野興夫先生と言えば、順天堂大学医学部の病理医で『がん哲学外来』を作った先生です。
樋野先生は病理医なので患者さんを直接診察する事はありません。
1日中、外科医から回ってきた 『ガンかもしれない細胞』を顕微鏡で見て 悪性なのか? 良性なのか? 進行度はどうか? 顔つきはどうか? を診断されています。
そんな病理医である樋野先生が「医学の原点は対話にある」と、 「患者さんとの対話の場所」を病院の中に作ったのが『がん哲学外来』です。
30分~1時間の時間をとって、患者さんの様々な悩みを解決することを目的としています。
「薬の処方箋」ではなく「言葉の処方箋」を出すと言われる樋野先生。
一体どんな人なのだろう。 と楽しみにしていました。
なんかね。写真の通りのお人でした。 芸能人に例えると森本レオさん(笑)
なんともふんわりとした 雰囲気でゆったりとした 時間が流れていました。
「現在年間100万人がガンだと診断されており、5年生存率は62.1%となりました。ガンは慢性病の時代になりました。」
こんな言葉から始まった講演は、質問を入れると1時間10分。
【人のからだに巣食ったガン細胞に介入して、その人の死期を再び未確定の彼方に追いやり、死を忘却させる方法を成就すること】 【また、同時に「人は、最後に“死ぬ”という大切な仕事が残っている」ことも忘れてはならない。】 これはガン研究の最大の目的であるそうです。 とても深いですよね。
「病」であっても「病気」にならないことが大事だといわれます。 でも、ガンの診断を受けたほとんどの方が「うつ状態」になるといいます。 そりゃあ当然の事だと思います。
いくら「ガンは慢性病の時代です」とは言え、 「ガン」という言葉が自分の目の前に現れた時の不安感は、なった方でないとわからないのかもしれません。
ただ、その「気」を病まないためにも「対話」が大切 なんですね。
「話す」事は 「手放す」事。 自分の苦痛がない程度に話していく。
身近な人は相手が苦痛にならないように沈黙をする事が大切なんですね。
旦那さんがガンになった時には 奥さんの過剰なおせっかいが苦痛。
奥さんがガンになった時には 旦那さんの冷たさが苦痛。 そんな事をおっしゃってました。 そして「病気」になっても「病人」にはならないことが大事です。
ガン申告をされると「私はガンだ」とショックを受けるでしょう。 「私はガンだ」と言うのと 「私にはガンがある」というのは 同じようで全然違います。
1cmのガンが見つかった時、 ガン細胞は10億個。
正常細胞は59兆9990億個もあります。
ガン細胞は全体の0.016% 数字で見るとごくわずかな割合なんですね。
「病人にならない」事で一番大事な事は「病感をなくす事」だと思います。
自分がガンを持っている事を忘れるような状態まで持っていく。
それが鈴木薬局の目指す 「死期を再び未確定の彼方に追いやり、死を忘却させる方法を成就すること」 だと思っています。
まずは樋野先生のような
「愛情と献身の思いがある人の心は豊かになり、心が豊かになると風貌が変わり、心が豊かな人の風貌は患者さんを癒す」 そんな人間にならないといけないです☆
日々精進!
がんの話〜『不治の病』から『慢性疾患』へ〜
2018年6月21日
2人に1人はがんになると言われてる時代です。
テレビを見ていても 「◯◯を食べ過ぎるとがんになる!?」 とか、 「◯◯はがんの予防効果がある!?」 とか、 「芸能人◯◯さんが△がんの治療を開始」 とか。 『がん』に対する関心が非常に高くなっているのではないかと思われます。
ただ、今の時代、テレビ・インターネット・雑誌・本などの情報がありすぎる事で、逆に頭を悩ませる事も多くあるのでは無いかと思います。
一方のお医者さんは本で 「抗がん剤はするべきである」 他の方の本では 「抗がん剤はしない方がいい」 などなど沢山の考え方、意見があります。
そこで! このコラムを使って少しずつ『がん』というものを私なりに紐解いて行きたいと思います。
まず最初に 『癌』と聞いた時のイメージは 『癌=不治の病』と連想される方が多いのではないかと思います。
確かに一昔前はそう思われても仕方なかったかもしれません。
しかし!! 現在では治療法の確立や医学の進歩で 『不治の病』から『慢性疾患』へと変わってきています。
具体的な数字を紹介しますと、 癌と診察されてから10年後の生存率を出した10年生存率というものがあるんですが、 全ての癌を平均すると、2016年1月の時点で 『10年生存率は約60%』まで増えているんです。
種類によっては10年生存率が84%のものや91%のものもあります。 (※前立腺癌ステージⅠ~Ⅳ平均値84.4% 甲状腺癌ステージⅠ~Ⅳ平均値90.9%) 膵臓癌や肝臓癌のように分かった時点からのスピードが必要で早く治療を必要とするものもあれば、 乳がんや大腸癌のように速さではなく5年~10年と長いお付き合いになるものもあります。
こう数字にするとわかりやすいですが、種類によって進行の早いものもあれば、遅いものもあり、
ステージはどの状態にあるのか? 他の基礎疾患はどうなのか? 体力は? お一人お一人、その状況によって治療も対応も変わってきます。
次回からは、 癌とは一体どういうものなのか? 治療方法は? 最新医療は? 予防方法は? そんないろんな角度から『癌』というものを考えていきたいと思います。
【花粉に負けない体を作ろう】
2018年3月7日
「漢方薬って長く飲まないと効かないんでしょ?」
よく聞かれる質問ですが実はそんなことないんです。
漢方薬は即効性のあるものも多くあります。
これからの季節に多い「花粉症と漢方」について書かせていただきます。
花粉症は同じ量の花粉を取り込んでも症状が出る人とそうでない人がいますよね?
その違いは何なのでしょうか?
漢方的には花粉症は「水毒」と呼ばれます。
鼻水、涙、くしゃみ全て「水」を外に出そうとしている症状ですよね。
つまり花粉症とは体の中の余った水分(水毒)を体が追い出そうとしているだけなんです。
水分を取り過ぎたり、甘いものの取り過ぎたり、ストレスなど溜っていませんか?
こういう事が体に水分を溜めやすくするんです。
花粉症を改善していくのに2つのポイントがあります。
一つはあったか~いお風呂にゆっくり入ると鼻づまりがスッーっと通りますよね。
これでもわかるように身体を温めてやる事です。
これには身体を温めながら鼻を通してくれる「葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)」という漢方薬を使います。鼻水より鼻づまりが気になる方へお勧めです。
もう一つは体に溜まって鼻や喉、目から出てしまっている水分を汗や尿としてちゃんと外に出してやる事です。
これには水分代謝を良くして症状を和らげてくれる「苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)」「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」という漢方を使います。水っぽい鼻水が続くような方にお勧めです。
これだけでなく症状や体質によって一人ひとりにピッタリ合う様に、使う漢方が違うのがスゴイところです。
つらい症状をとる事はもちろん大切ですが、
症状をとりながらも体に水分を溜め込まない体を作る事、日頃の養生で花粉症に負けない体作りをする事が大切ですよね。
また、漢方では冬の病気は夏から治療するという「冬病夏治(とうびょうかち)」と言う言葉があります。花粉症の時期だけでなく普段から漢方薬を取り入れて体質改善をしておくと次の花粉症シーズンは随分楽に過ごせますよ。