高齢者のがん治療
2019年1月7日
先日、愛媛新聞に「高齢者のがん治療」についての記事が一面に出ておりました。
同じ日の健康面にも同じテーマで書かれており、医療機関でもこの「高齢者のがん治療」についてが、大きなテーマとなっているのでしょう。
というのも、 「現代のがん治療ガイドラインで定められてる治療を、高齢者に当てはめるのは、 あまりにも強すぎる。」 からなんですね。
50歳の方へのがん治療と、 90歳の方へのがん治療が、 同じなわけにはいかないんです。
それは、治療に耐え凌ぐ「体力」。
治療後の傷ついた体の「回復力」。
治療によって免疫が落ちて他の感染症にならないようにする「抵抗力」。
この3つの力が全然違うからなんです。
がん治療で絶対に考えないといけないのが、その後の「生活の質」です。
医療機関でも、治療後のダメージが少なくなるようにあらゆる方法が進化しています。
手術の場合も、少し前までは小さい がんでも開腹(メスでお腹を開いて手術)するのが当たり前でしたが、 今では内視鏡(小さく切ってカメラを見ながら手術をする)が主流になっています。
この進化の一番の目的は 術後の「生活の質」を落とさないようにするため!です。 開腹と内視鏡では術後のダメージが全然違うのです。 すると回復のスピードも違い「生活の質」をあまり落とさずに済みます。
「がんを攻撃する治療」と 「患者さんの生活を守る方法」、 このバランスが、患者さんにとってベストな時に「良い治療」と言えるのかもしれませんね。
自然薬ができるのは「患者さんの生活を守る方法」の方です。
「体力」、「回復力」、「抵抗力」を底上げすることです。 医療機関はどうしても「がんを攻撃する治療」に重きを置いてるように思います。 というよりも、がんを小さくしたり取ってしまおうとすると、攻撃せざるを得ません。
もちろん両者大切です。
攻めと守り、 バランスをとって、本人にとっての 「良い治療」となるようにしたいですね。
『検査なんか嫌いだ』著 鎌田實
2018年12月7日
医学の進歩による「早期発見・早期治療」によって「ガンは慢性病である」という考え方が定着しつつあります。
なので「早期発見の為の検診をしっかり受けましょう!」というのが多くのお医者さんの訴える事であり、地方自治体も積極的に検診を受けるように取り組んでますよね。
先日、諏訪中央病院の鎌田實先生の『検査なんか嫌いだ』 という本を読みました。
鎌田先生は検査嫌いの お医者さんなんです。
痛い。怖い。恥ずかしい。面倒くさい。 確かにそうですよね… 「頭ではわかってる…でも…」 私は、そんな患者の心情を理解してくれる鎌田先生の人間臭いところが好きなんです。
鎌田先生も確かに検診は大切だと言っています。
ただ、「どの検診が必要かは人それぞれ違う」と言います。
例えば親族に大腸ガンをやった事がある人がいるならば、 自分も大腸ガンに なる可能性が、他の 人よりも高いので 検診を受けた方がいいでしょうと。
しかも大腸ガン検診は、まずは「検便」(小学校の時にちょっと恥ずかしいなと思いながら学校に持っていたあれです)、 その次は「内視鏡検査」です。
放射線の被曝の心配もないし、血縁に大腸ガンがいる人は、その年齢より10歳若い年齢の時から2年に1度、大腸内視鏡検査をする事を勧めてい ます。
乳がんも同じです。
親族に、乳ガンをやった事のある人がいるならば、リスクが上がりますので、乳がん検診を受ける事を進めています。
ただ、若い女性が乳がん検診を受ける際は、マンモグラフィー(透明な板で乳房を挟んでエックス線を当てて撮影する事で乳がんを見つける)では難しいようです。
20~40歳ぐらいの女性は乳腺が発達してるためにガンを発見するのが難しいと言われています。
ガンも乳腺も白く映るので 「雪山で白いウサギを 見つけるようなもの」 と言われます。
特にアジアの女性の80%は乳腺が密集しているので余計に見つかりにくいとされています。
要は20~40歳ぐらいの女性は、マンモグラフィーの検診だけでがんを見つけるのは相当難しいので、エコー検査をするか、エコー検査とマンモグラフィーを一緒に行うのがいいでしょうね。
エコー検査は妊娠中に赤ちゃんを見る検査と同じですので、放射線の心配はいりません。
このように年齢や家庭環境によってもお勧めできる検診方法が変わってきます。
親族にガンの方がいる方とそうでない方ではガン検診の持つ価値も変わってくるし、 生活習慣、年齢、自分が弱いな~と思ってる臓器、体質、性格… いろんな要素が人それぞれ違います。
「放射線の被爆は気になるけど、検査してもらわないと心配ばかりしてしまって夜も眠れない。気になってしょうがない。」というような、「心の健康の為に」検診を受ける方だっていると思います。
価値観も性格も体質も皆んな違うので、どれが正解というわけではないと思います。
私は「早期に発見すれば治る可能性の高いがんを見逃して、命を落とすのはもったいない。」と思っています。
痛くない検査や、放射線の心配が少ない検査や、自分のリスクの高いがんの検査は、受けた方がいい物もあるんじゃないかな。と。
年末年始は、親族で集まる機会も増えると思います。 その時に親族の健康状態を聞いてみるのもいいのではないでしょうか。
「実は、ばあちゃん20年前に乳ガンやってるんよ」とか、 「亡くなったじいさんは生前大腸ガンだってね~」とか、 そういう事を聞いて、
「そうか!うちの家系は大腸ガンには気をつけないかんのやな!」
「じゃあ肉食中心の今の食事は見直さないかんな~!野菜の量増やさないかんな~!」とか、 検査だけでなく予防の面も、より正確にリアルにイメージできるのではないかと思います。
時代によって変わってくる治療法
2018年11月7日
がんに関する本は、その時代や医療の進歩によって書き方が変わります。
今回はそんながんに関する本の今の主流をご紹介したいと思います。
5年程前。 本屋さんで山積みにされて計110万部突破した本があります。
『医者に殺されない47の心得』 この本の著者は放射線医の近藤誠氏。
この先生は「がん放置療法」や「がんもどき理論」など現代のがん治療を真っ向から否定する独自の理論を発表して世間に衝撃を与えました!
その時期には近藤先生に乗っかって、日本の3大がん治療(手術・放射線・投薬)を否定する ようながんの本が 沢山でました。
そしてその後… 今度は近藤先生の理論を否定する本が沢山出ました!
『近藤誠理論 徹底批判』
『医療批判本の嘘~医者の極論で命を縮めないために読んでください~』
『そのガン放置しますか?』 など。
否定のし合いの本は読んでて気持ちいいものではないですが、がん治療の知識のために両者の言い分を交互に読みました。
私の考えでは近藤誠理論は極端すぎると思っています。一理ある!程度ですね。
近藤誠理論に心酔してどっぷりつかってしまうと命を縮めてしまう事も多くあるのでは!?と思わざるを得ません。
実際に経過観察するだけでいい甲状腺がん(1㎝以下の低危険度の無症候性微小乳頭がんに限る)のようながんもあると言われていますが、 基本的には3大治療がやはり基本となり、かつ正常細胞を守りながらの治療が大切だと考えています。
西洋医学の攻撃的な治療。東洋医学的な防御の治療。両者のバランスが大切だと思いますね。
攻撃だけの治療だとどうしても副作用によってQOL(生活の質)が落ちてしまいます。
これが3大治療否定の方の意見= 「がん治療を始めるまではあんなに元気だったのに、治療を始めたらみるみる症状が悪化してしまった」 というものです。
だから防御に特化した東洋医学的な治療も必要だと思います。
正常細胞を守り、副作用を軽くするためにも!
話は逸れてしまいましたが…
そして今、 がん治療の本でほとんどのお医者さんが訴えること、それは 「がんは不治の病から慢性病の時代になった」 と言う事。
今では原因がわかってきている種類のがんもあります。
そして、早期発見の難しいがんや難治がんも含めた全がんの5年生存率が7割近くになりました。 なので早期発見して早期治療をできると治癒率は本当に高いんですね! その事をとにかく訴えています。
毎日診療をしていると特にそれを感じるのでしょう。
『がんとの賢いつき合い方』の著者 消化器外科 門田守人先生もその事を強く書かれていました。
門田先生は「キャンサーカフェ」というガンサバイバー(がんを克服した人)をゲストに迎えてトークをするラジオで週に1度パーソナリティーを務めておられます。 診療やラジオや本を通してがんになった時に「自分らしい選択をする事」や「自分らしく生きる事」の大切さを伝えておられます。
がん=決してネガティブなものではなくてそれを機に生き方が良く変わった人の話なんかをラジオでもされてるようです。 がんの治癒率がドンドン上がってきている時代だからこそ、 まさに「がんとの賢いつき合い方」なんですね。